鬼上司?と嘘恋から始めるスイートラブ
お昼ご飯を食べ終えた後、作業を再開する三人を残し、私は一人夜の買い物に出かけることにした。今日はうちの家でご飯を食べようとお父さんが提案したから。

課長や冴子さんは外食でもいいと言ってくれたけれどせっかくだから手料理を振る舞いたい。そんなに自信はないけれど、これでほんの少しでも課長が私の新たな一面を知ってくれたらいいなと思う。


近くのスーパーまで自転車でやってきた。中に入り、食材を見ながら献立を考える。課長や冴子さんは何が好きなんだろう。冬なら無難にお鍋なんていいんだけれど今は夏。無難だけれどカレーにすることにした。


私が作るカレーはすじ肉をコトコトと煮込んで時間を掛けるからお父さんのお気に入りの一品。カレーとサラダにしよう。そんな風にあったかい気持ちのまま買い物を済ませた。

「美味しい!!」

夜、コトコトととにかく時間を掛けて煮込んだカレーを三人の前に出した。一斉に聞こえてきた一番嬉しい言葉。お父さんはともかく、課長と冴子さんに言ってもらえて嬉しい。


課長なんて一言、言った後手が止まることなくお皿の中のカレーを食べてくれている。今まではお父さんにしか食べてもらうことなんてなかったカレー。


好きな人が子どものように頬張ってくれるのって本当に嬉しい。
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