恋しくて、哀しくて
『今日は、息子にステッカーをくださり、ありがとうございました。


ステッカーの裏にメッセージがあったのですが、もしかしたら、他の誰かに渡すつもりだったステッカーではないでしょうか?』



自分で作った文章を見て首を傾げた。このメールを受け取った相手は、どう思うだろうか…。



やっぱり、気付かなかったことにして、無視すればいいのかな…。



しばらく、メール画面を眺めていたが、冷たい指がふいに送信ボタンを押した。



『送信完了しました』



名前も書かずに送った。身に覚えがない、と、メールを消去するに違いない…。



ふっ…と、昼間に会った彼の表情が浮かんだ。



送らなければ良かった。


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