恋しくて、哀しくて
「伊勢美咲さん」



彼は、私の名を呟くと嬉しそうに笑った。



「…何か?」



「あなたとこうして話ができるなんて…夢みたいです…」



「どうして、私なんかを?まだ若いでしょ?」



「25です…」



「私、10歳上ですよ?それに…夫と子どもがいる…」



ヒソヒソっと、トーンを落として話した。



「たまたま好きになったのが、年上の人妻だっただけで。仕方のないことです」



そう言いながら、ずずっとコーヒーをすすった。私は、クロワッサンサンドを口にしながら、ぼんやりと彼を見ていた。



「食べてる美咲さん、かわいい!」



思わずブッと吹き出しそうになった。



「あなた、物好きだと言われたことない?」



「ないです」



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