恋しくて、哀しくて
ついでにお昼ご飯を済ませようと、ホットコーヒーとクロワッサンサンドを買ってから、席についた。



「貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございます」



彼は、丁寧にお礼を言うと、名刺を差し出した。私は黙って受け取ると、自分の名刺を渡した。



「保険会社にお勤めなんですか?」



「もう退社しました。財布に一枚残っていたのでお渡ししただけです」



今日は、話を聞くために来ただけなのに、どうして名刺を渡したのか…。自分でも不思議だった。


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