恋しくて、哀しくて
運転士は、学に視線を落とし「もうすぐ発車するから、乗ってや」と言葉をかけると、優しく微笑んだ。



「うん!ありがとう」



学は運転士に手を振り、謙一さんは会釈をして電車に乗りこんだ。



私は…運転士…圭太くんに微笑んだ。彼は、会釈をすると、私の目を見て微笑みを返した。



その目に私は…自分を見失いそうになった…。



プルルルル~と、発車を告げるベルが鳴り、扉が閉まった。



「さっきの運転士さん、感じ良かったね。学のことも覚えてくれているみたいだし」



謙一さんが笑顔で私にそう言った。



「…そうなんだ?良かったね、学…」



作り笑いを浮かべ、学の頭をそっと撫でた。



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