恋しくて、哀しくて
謙一さんは、2人目の子どもを欲しがっている。学も弟か妹が欲しいと言い出したし、もうすぐ36になる私も…真剣に考えないといけないと思っていた。



そう思いながらも、私は、圭太くんとホテルの天井を眺めていた。



「どうなるんだろ?」



「…なるようにしか、ならんやろ」



私の呟きに、何もかもわかったような口ぶりで、圭太くんが応えた。



「僕はただ、美咲さんと一分一秒でも一緒におれたら…それでいい」



そう呟いて私を見つめる眼差しは、少し寂しそうに光っていた。



「もう…。そんな目、しないでよ」



圭太くんの、乾いた唇に口づけをする。それを引き金にして、私たちはまた、体を重ね合う。



彼の胸の鼓動、体温、息遣い、私を惑わせる優しい指先…。すべてが愛しくて、たまらない。



「好き…」



誘ってきたのは、彼のほう。なのに…いつの間にか、私の『好き』の気持ちが上回っていた。


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