恋しくて、哀しくて
圭太くんと愛を確かめ合った日の夜。学を寝かしつけている間、謙一さんはリビングでニュースを観ていた。



「寝た?」



学の部屋からリビングに来た私に、謙一さんが声をかける。



「うん」



返事をして、謙一さんの脇に腰を下ろす。



「今日、どこにいた?」


謙一さんが鋭い視線を向ける。



「今日は、ショッピングセンターに行ってた。気晴らしに時々、行ってるんだ」



私は、顔色ひとつ変えずに笑顔で応えた。



「…男と…一緒に?」



「男?私、ひとりだったよ?」



もしかして、見られたの?そう思いながらも、涼しい顔をして応えた。



「…そうだよな。他人の空似、だよな?オレ、あの近くの得意先に行く途中で、ショッピングセンターに寄ったんだけど」


< 41 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop