恋しくて、哀しくて
あの日以来、圭太くんと会うことはなかった。



別れ間際に『元気でな』と言った圭太くんの、優しい眼差しを胸に抱いたまま、私は大阪を離れ、札幌へと移動した。



『さよなら』は、言わなかった。もう二度と会えなくても『さよなら』と言えなかった。



しばらくは、圭太くんが夢に出てきたけれど、それを忘れる、幸せが訪れた。



私のお腹に、新しい命が宿ったのだ。



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