猿女の恋愛事情
変わり始めていたのは小5の夏の頃
ある日の帰路だった。
唐突につぶやいたのは翔
「俺、理人のこと嫌いだ。」
私はその言葉に耳を疑った。
「え?なんで?」
すると翔はあいつうざいんだよな~優しくないしさ。などと理人の悪口を言う。
冬馬はうんうん。とうなづくだけで…理人は最近一緒に帰ってない。
確かに理人は優しくないけど、ずっと一緒だった幼馴染の悪口を幼馴染から聴くなんて。結構嫌だった。
でも弱い私は少しでも多数派についていなきゃ…っていう本能に押されて
「う…うん!あたしもそう思ってたんだよね!ひどいよね!理人って!」
ありもしない感情で偽って、いつしか三人で理人を避けるようになっていた。