やばい、可愛すぎ。
「だからはい、ゆり」
「……なんですかこの手は」
皐月くんが黒々しい笑みを浮かべながら、私のほうへと手を差し出してくる。
「……どう、するの」
「ほら、手だして」
嫌な予感しかしない。
けれど、協力してくれる以上、断るわけにもいかず───私はすっと上に手を上げるような感じで、皐月くんの前に手を差し伸べた。
すると、皐月くんがすっと私と同じように手を、差し伸べてくる。
「さ、皐月くん……?」
「俺から行ったんじゃ意味ないでしょ。
ゆりから俺の手に合わせて」
「っっでも、私は……」
そう言いかけて、私は口を開けなくなってしまう。
そう───ちょうど、真正面から見た皐月くんの表情は、とても真剣で───視線を逸らすことができなかった、から。