やばい、可愛すぎ。


「どうするの」


やるのか、やらないのか。


───そっと、私の頭の中によぎるのはあの、痛々しいくらいに泣きそうなのに、それでも笑い続ける彼の、笑顔。


逃げちゃ、だめだ。

くっと息を飲みこんで、私は言う。


「……やる。

 逃げたって、結果は変わらないもの。

 ……なら、私は、逃げたくない」



〝約束〟を守るためなら、どんなことだって私は乗り越えてみせる。

私は〝約束〟したんだから───



私がそういうと、皐月くんは目を見開いて───それからとても切なそうに、眉を下げて言った。



「……一度は言ってみたいセリフだな」



と。



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