やばい、可愛すぎ。
もうすぐ家が見えてきた、ということろでふと、私は顔を前にやった。
向こうから、持った鞄を頭の上に乗せて小走りで走ってくる、女性。
向こうもこの激しい雨で、下を向きながらこちらに走ってくる。
そしてすれ違う寸前───どんっ!と、私と女性の肩がぶつかってしまった。
「わっ!」
「きゃっ……!」
ちょうど持っていた、スーパーの袋を思わず手離してしまいそうになる。
なんとか保とうと、ぐっと体に力を入れようとしたけれど───どんっ!と、後ろにしりもちをついてしまう。
「いたた……」
打ってしまったらしい、お尻がひりひりとする。
そして、はっと我に返って、前を向くと私と同じように、30か40くらいの綺麗な女性がしりもちをついているのが見えた。
「おねーちゃん、だいじょうぶ?」
「あ、うん大丈夫だよ。……すいません、前を見ていなかったもので」
私がそういって謝ると、女性は少しだけ口元を緩めながら、
「いいのよ、私も悪かったから」