やばい、可愛すぎ。

「えー今日、傘持ってきてない」

「俺も」

「しょうたもー」


そんなことを言いながら話しているうちに、地面がぽつっと黒くしみのようになっていく。


ぽつ、ぽつ。

小さな雫が私の頬にかかる。……そして、その粒はだんだんと大きく、強く降り始めてきた。



「わ、二人とも家まで走るよっ」


「ういー」


「慌てすぎて転ぶなよ」


「サツキこそー」


「もーっ二人ともこんな時に言い合いしないのっ」


私はずり落ちていた鞄を肩にかけなおして、小走りで走り始める。


ぽつ、ぽつ、と降っていた雨が強さを増して私の体に突き刺していく。



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