やばい、可愛すぎ。


どうして、私は、あの時。


遠ざかっていく父の背中を、抱きしめなかったんだろう。

どうして、引き留めなったんだろう。


そうしたら───こんなに、後悔しなかった。


……馬鹿だな、私。


今でもずっとその〝約束〟を守っていたら───お父さんが、帰ってきてくれるような気がして。


いっぱい、勉強した。

いっぱい、家事を手伝って、周りのことは自分でできるようにして。



「……お、と……さ」



きっと会いに来てくれる。

きっと約束を果たしに来てくれる。


ずっと、ずっとそう思い続けて───思わずにはいられなくて。


なのに、お母さんの口から出たのは、裏切りだった。

私たち家族に対する、裏切りだった。


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