海辺の元で
波乱
9月に入り、あっけなく夏の面影は消え、雨が降り続く日が多くなった。休みモードはすぐに抜けた。

学校では、進路があるから、気を抜くことは出来なかった。

志望校も絞れて来て、先生と親子面談があったりと、着実に時を重ねていた。

9月下旬のこと。
土曜日。志望校が絞れた私は、遅いが予備校に通うことにした。

テストの結果も、まぁまぁ。

早めに帰宅し、テレビを見ていた。

ガチャ

玄関のドアが開く音がした。

私は、誰だろう?と思った。

こんな早くに両親が帰って来るわけがない。

まだ夕方の六時だ。

「??お母さん?」

私は玄関の方へ向かった。
辺りを見回した。

すると、父の寝室のドアが開いていた。
でも、電気はついていない。

私は段々、ドキドキしてきた。

おそるおそる近付いて見ると…

真っ暗な部屋に、父が机の引き出しを開き、つったっていた。

「お父さん!どうしたの?びっくりするじゃない!」
私は、ほっとして笑った。
でも、父はあまり反応しなかった。

「悪い、忘れ物があってな」

父は、深刻な顔をしていた。

「また??でも、こんな時間に?それ、書類っぽいけど…帳簿?」

父の手には、あつめの書類が握られていた。

それを、父は急いで隠した。
「あぁ。そんなようなもんだ」

「ふぅ〜ん、怪しい〜」
冗談めかして言った。

「雪乃、父さん…、お前に話があるんだ。」

妙に重く、あまり聞きたくない感じがした。

「なによ!そんな改まって… それより、店、田辺さんに任せたんでしょ?早く戻らないと…」

私は、話をそらした。

「今、行く。」
父は、おかしかった。

でも、私は、軽く考えるようにした。
そうしないと、私の胸騒ぎは、正常を保てなかった。
父の話。

どんな話だろう?
あまり心当たりがなかった。あるとすれば……

私の進路??

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