甘い誘惑～Sweet Refrain～
彼の嬉しそうな顔を見ながら、あたしはおにぎりを頬張った。

「実を言うと、２日ぶりにご飯を食べたんだ」

南方さんが言った。

「えっ、そうなんですか？」

あたしは驚いて聞き返した。

「いろいろと事情があるんだよ。

この前なんか、せっかくの休みを返上して仕事だったんだから」

南方さんはやれやれと言うように息を吐いた後、ストレートティーを口に含んだ。

「そのせいで、彼女の両親にあいさつへ行くことができなかったんだよね」

呟くように言った南方さんに、あたしは彼が結婚の約束をしている恋人がいたことを思い出した。

「それは、大変でしたね」

そう言ったあたしに、
「でも今週の週末に、彼女の両親のところへあいさつに行くことになったんだ」

南方さんが嬉しそうに返した。
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