好きみたいです××さん
好きみたいです



真っ暗になった部屋の中で、私は一人ため息をついた。



家に一人で留守番中に停電になるなんてついてない。



外ではびゅうびゅうと音を立てながら風が吹いていて、雨がざあざあと強く降っていた。



どうやら、この嵐で電線が切れたとみた。



私はとりあえず、手元にあった携帯を懐中電灯モードにして辺りを照らす。



なんだか心細いな。



真っ暗な部屋の中にいると、隣の家のお兄さんとエレベーターに閉じ込められた時のことを思い出した。



名前も知らないお兄さんだけど、あの時は今よりも不安な気持ちにならなかったのを覚えている。



お兄さんを思い出して、なんだか余計に心細く感じた。



隣にお兄さんがいたら、どんなに心強いか。



お兄さんは今頃どうしてるかな?



一度お兄さんのことを考えると、お兄さんのことしか考えられなくなった。



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