ファインダーの向こう
 初めはおぼつかないキスも無言でお互いを求め合い、そして熱が増せばとろとろに蕩けるほど甘味が出てくる。時折鼻から抜ける逢坂の声に、身体の芯からぞくぞくしたものを覚えながら沙樹は逢坂の頭を掻き抱いた。


「あ……ん」


「お前、エロい声出すなよ……歯止めが効かなくなるだろ」


「……効かなくてもいいですよ」


 お互いに舟を漕ぐように唇を押し付けては軽く離し、貪るように角度を変えてを繰り返す。


「あ……や、やだ」


 ふとした拍子にバスローブが肩からするりと滑り落ちて、沙樹の上半身があらわになる。


「なんだよ、さっきまでの余裕はどこ行った?」


 ニヤリと笑って逢坂は羞恥でおかしくなりそうな沙樹を覗き込んだ。暗闇に浮かぶその白い肌色は、思わず傷を刻んでしまいたくなるほど綺麗だった。


「……んんっ」


 腰からくびれを這い上がって胸をまさぐるその動きに、沙樹のくぐもった声が漏れる。沙樹は指を口に含みながら、敏感な部分をくすぐる逢坂の熱い吐息に瞳を潤ませた。


(私は……どんな逢坂さんでも受け止める)


 その時、すっと逢坂の身体が離れる気配がして、固く目を閉じていた瞼をうっすら開けると―――。
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