ファインダーの向こう
第五章 レコーダーの謎

Chapter1

 寿出版「peep」編集部―――。


 相変わらず雑然とした雰囲気の編集部で、従業員は慌ただしく仕事に追われていた。
 沙樹は先日発売になった最新号の「peep」を広げ、ルミと里浦の浮気現場について自分で書いた記事に目を通していた。


 その時―――。


「沙っ樹ちゃぁん! お疲れ様ー!」


「あ、編集長」


「さっきチェックしたけど、今週の「peep」の売り上げランキングが相当よくってさ、やっぱり神山と里浦のスクープが効いてるよね~きっと」


 波多野は沙樹の肩をポンポン叩きながら、豪快に笑った。


「“密会の真実! 泥沼へ!?”いいね~、この煽り文句! 今朝のテレビでも里浦が記者会見するとかしないとか言って話題になってたよ。でも神山のあのバッグは迂闊だったよな~」


 スクープの写真にたまたま写っていたルミの某ブランドのバッグと、先週放送されていた番組で、ルミが自慢げに公表していたプライベートバッグが全く同じものだったのだ。沙樹は記事を書く際、そのことを指摘しつつ、写真の二人がルミと里浦であると示唆した。そこに食いついた他社の記者が、現在ルミに迫るように連日取材に押しかけている。その原因が自分だと思うと、波多野に絶賛されながらも沙樹は内心複雑だった。


「でも、沙樹ちゃんは神山ルミと知り合いなんだろ? 辛かったよねぇ……でも、よくやったよ」


「ありがとうございます」


 波多野は仕事のためなら身内でも平気で売るような人間だと、沙樹は波多野に対し初めて恐怖を覚えた。


(それにしても……)
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