死神のレシピ
ダレルは何も言わないで、私の頬を伝う涙を優しく拭ってくれた



「分かったよ
僕、天国に行くよ。」



そう言ってダレルは、ぎこちない笑顔を私に向けた



私に対する、この子なりの気遣いが痛いほど伝わってきて心が痛んだ



だって、結果的に愛する者同士を長い間、離れ離れにしてしまうから…



「ありがとう
分かってくれて
じゃあ早速…。」



大鎌を手に取って前方に振り上げると、目の前の空間がパックリ割れてトンネルが出現した



私はダレルの手を握った



「じゃあ行くね
天国へ。」



「うん…。」



私に手を引かれながら、ダレルは寂しそうに母親を見つめていた


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