冷酷彼氏の憂鬱

 なのに……。


「千尋くんっ、私、また何かしちゃった……?」


 しゅんと肩を縮こませ、悲しそうな表情を浮かべた愛美は俺の葛藤など知るよしもなく、とことこと近寄ってきた。

 近寄ってくる際の歩き方がかわいくて、思わず、うっと言葉を詰まらせる。


「なんでもねぇ。とにかく、近寄るな。ついでに見るのも禁止」


 かわいい目で見つめられたら、それでこそ理性がきかなくなる……。
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