セカンドデビュー【完】
朝食を済ませて、食器を片付ける。
アイロンをビシッとかけたシャツに着替えて、頑張って髪をセットする。

いってきますと母の部屋に声を掛ける。
もうここにはいないのだから、当然返事はない。

駅まで徒歩5分の自宅は、閑静な住宅街の中では、わりと大きい。




女優だった母親が建てたものだ。



都内にしては、広い庭。

植えたものと言えば、薔薇とラベンダー、ミントぐらいなもので、もっとも、庭の主は長らく帰ってこないので、水遣りも草取りもオレの仕事だけど。


毎年ワサワサと葉をつけるミントをよけて歩く。


殺風景な庭とエントランスを抜けて、駅へ向かう。

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