皮が剥けた
どくんどくんではない。

じんじんでもない。

じゅくんじゅくんする。

洗剤の泡がガーゼに侵食した瞬間が、その最高潮だった。

声にならない悲鳴を、お皿洗いをしながらあげる私は、滑稽だ。笑うがいい。

お皿の汚れは落ちても、私の痛みは落ちない。

滑稽だ。

そうしてお皿洗いを終えた私は、完膚なきまでに痛めつけられたように、指先の痺れに甘んじていた。

自ら痛みに指を委ねれば、脈動の一度一度を味わう以外、苦悶はない。

ガーゼの朝顔はいつの間にかもう、綺麗に散ってしまっていた。
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