Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】
 牙王は、俺の足首を掴むと、そのまま空から引きずり下ろした。

「ぐ……は……」

 受身も取れないまま、地面に叩きつけられて、俺は思わず唸る。

 ……痛みに。

 カラダがばらばらになりそうだった。

 一瞬止まった動きに。

 牙王は、げらげらと笑うと、俺の背中を余裕で踏みつけて言った。

「ほら、言いてぇことがあるなら、言ってみろ。
 聞いてやるからよぅ」

 ……く……そ……!

 文字通り。

 手も足も、出ない屈辱に、歯ぎしりしながら。

 それでも、ぐぃ、と頭を上げて、牙王を睨む。

「俺は……信じた。
 自分自身の持つ、可能性に……
 死にゆく者を少しでも減らすために、できることがあるのなら力を貸したい、と思ったんだ」


 そう。


 いつだって、ヒトの命は、儚くて、もろかったから。




 なのに、出会うモノはみな。



 生きていたい、と叫ぶから。



 ただ、俺は。



 俺のできることで、その願いをかなえてやりたかった。





 ただ、それだけのはずだったのに。



 
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