Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】
「……気がついたら……
 俺のカラダで出来た、異形の生きモノ達が、無限に増殖して。
 すべてのバケモノたちの、大元の始まり。
『始祖の吸血鬼』なんて、呼ばれるようになっていた……」

 生きることに貪欲なモノたちに。

 むやみに手を貸す今のこの状態が、決して良い状態だとは、思わない。

 そんな思いも、また。

 俺がクロイツを出ようと思った原因の一つだった。

「……けっ、偽善者め。
 ムナクソわりぃ」

 牙王は、背中から自分の足をどけると。

 そのまま、俺の腕を乱暴につかんで高々と持ち上げた。

「キサマをクロイツに戻せば、またバケモノどもが増えるのか?
 だからといって、このまま逃がすのもシャクだな……
 ……やっぱり、殺してやろうか?
 左腕一本とは言わねぇ。
 キサマを丸々喰ってやろうか……!」



 がぁっ!


 牙王の耳まで裂けた口が、開かれた。

 鋭い牙が何本もぎらぎらと、月光を跳ね返して光る。

 そして、その口が。

 まっすぐ俺の咽まで近づいて来た。

「……!」

 その、めまいを起こしそうなほどの、殺気に。

 思わず、息を呑んだ時。

 今まで黙っていた早瀬が、口を挟んだ。
 
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