Holy-Kiss~我が愛しき真夜中の女神達へ~【吸血鬼伝説】
 工藤は、目をきらりと光らせた。

「『護り』を使命とする『吸血鬼、残月』に、僕は、正式に取り引きを申し込む。
 僕の血と名前とを引き換えに、日本に帰って早苗を護れ!」


「嫌だ!」

 出来るか、そんなこと!

 工藤は。

 泥の中を這いずりながら、死線を一緒に超えて来た。

 同じ部隊の貴重な生き残りなのに。

 戦友(とも)なのに。

 なんで、一緒に、生きる、と言わないのだ。


 例え、ウソでも。

 例え、ウソでも!!!


「残月、頼む……!」


「いやだああっ………!!!!!」



 何で、命は。

 こんなに、もろくて、儚くて。






 ………俺の元から去って行くんだ。





 風のように。


 鳥のように。






 苦しいほどに。







 愛しい………命……なのに。

 
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