さがしモノ
「おはよー」
「あ。おはよ。」
わたしが向った先は、廊下側の一番後ろのソーマの席。
ソーマは、携帯をいじっていた。
「ねー。何してんのー。携帯」
「えー。色々。」
教えてくれないから、チラッと横から盗み見た。
あれだ。SNS。
あけみちゃんって子と。
・・・
ねぇねぇ。今何してるのぉ?
そーちゃんに会えなくて、あけみ悲しい
今、学校だよ。
えぇー近くに女の子いるぅ?
そりゃーいるよ。
えぇー。喋ったりしてないぃ?
もちろん。だってあけみ、怒るだろ?
そっかぁー♡そうちゃん大好きぃ♡
・・・
温度差がある。
ソーマ冷めてる。
やたら小文字を使っているあけみちゃんが可哀想。
「ねー、そーいえばさ、すごいねーてんこーせー」
転校生ちゃんに興味を全く示してないソーマにためしに話題を振ってみた。
「あー。うん。そうだね。」
ソーマは携帯から目を話さず答えた。
「男子にすごい人気だよー」
「あー。うん。そうだね。」
「うわ。少しかわいそーだわー。転校初日にー」
「あー。うん。そうだね。」
「クラスの男子って、あの子タイプー?」
「あー。うん。そうだね。」
「え。なにその興味ゼロな感じ。」
「あー。うん。そうだね。」
「ねー。あの子さー。ソーマのこと好きだってー」
「あー。うん。そうだね。」
はい。全く話聞いてないー。
なんか悲しい。わたし。
「じぁね。バイバイ」
「あー。うん。そうだね。」
なんかすこーしだけ悲しくなってきた。
女の子大好きなソーマはスマホが手放せないらしく、現実に存在するわたしの話し相手はしてくれないらしい。