さがしモノ
あれ。
そういえば1時間目何分からだっけ。
しょうがないから席に戻ろうと、自分の席がある方に目をやると、なんとも大変賑わっていた。
「サナちゃん!サナちゃん!前の学校って、どうだったの?」
「あっ!それ俺も気なる!」
「モテモテに違いないだろ!!」
うるさい。
教室がとてつもなくうるさい。
転校生ちゃんの席に、女子も男子も群がってる。
楽しそうでいいねー
なんて遠目で暫く眺めていたものの、全然どく気配がないのでしょうがないから声をかけに近寄った。
「あのー。ちょっとどいて…「サナちゃん!学校案内しようか!」
「おい!今からとか無理だろ!俺があとで案内してやる!!」
「すみませーん…「えー。そういうのは女子同士がいいの!!」
「いや!俺が案内する!!」
「違う!俺だ!」
「私達がやるの!!」
君たち、ほんとに高校生?
っていう言葉をわたしはかろうじて飲み込んだ。
「席に座りたい…「じゃあ、みんなで行こう!」
「えー。やだー」
「ねー。サナちゃんは誰に案内して欲しい?」
どうやら、どうしてもわたしを席に座らせたくないらしい。
パチッ
そんな時、転校生ちゃんとばっちり目があった。
眉をへの字にしてこちらを見てくる。
ほんとにばっちり目があってしまったので、なんとなく逸らすわけにもいかず適当に微笑んでおいた。
そこからクルリと180度回転して入り口に向かって歩き出す。
席につくのはもう諦めた。
授業を受けなかったのは、決してわたしのせいではない。