スノードームと恋の魔法


針葉樹の並木道に出ると、遠くの方に提灯が連なった灯りが見えた。


がやがやと人の声がする。


僕は少し怖くなり、かぶっていたニット帽を深くかぶり直して、ダウンジャケットのジッパーを口元まで上げた。


お爺さんに駆け寄ると、お爺さんのジャンバーの裾をぎゅっと握った。


お爺さんは後ろを振り返ると、やれやれ困ったなという風な素振りをし、また前に向き直る。



「こんばんは」


神社へと続く階段の前には、わらわらと人が集まりだしていた。


お爺さんの知り合いが声をかけたらしい。


立ち止まり、世間話が始まった。


「今日は一段と冷え込みますね」


「今、何時ですか?」


「12時5分前?今年もあっという間でしたね」


1、2、3、4・・・僕はお爺さんの背中に隠れるように立ち、心の中でゆっくりと数を数えた。


年が明けるまで後5分。


1分が60秒だから、60×5=300秒。


僕の体内時計と除夜の鐘が鳴り始まるタイミングが合うかの実験。


< 4 / 102 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop