スノードームと恋の魔法
携帯ラジオは拾った日からお姉ちゃんの宝物になって、今もこうして片時も離さずに持ち歩いていた。
お姉ちゃんは歌を歌うのが好きで、音楽を聞くのが好きみたいだ。
ボクも眠る前にイヤフォンの片っぽを借りて、お姉ちゃんと一緒に音楽を聞く。
小さな黒い箱から流れてくる音楽は、まるで魔法の言葉みたいだった。
「さぁ、もうそろそろ寝る時間ですよ」
お母さんが後ろから優しく声を掛けた。
はぁいと声を揃えて、返事をすると、ボクとお姉ちゃんは部屋の奥へと入っていった。
子供部屋にはすでにお兄ちゃんが丸くなって寝息を立てていた。
お姉ちゃんとボクはお兄ちゃんの邪魔にならないように、寄り添って丸くなった。
「お姉ちゃんのラジオ聞いてもいい?」
「うん、いいよ」
お姉ちゃんがイヤフォンの片方をボクの耳に差し込んだ。
ボクは目をつむって、じっと耳を澄ます。
ラジオでは渋い声の男性DJがお便りを紹介してた。
「続きましてのお便りは●●にお住まいのラジオネーム:ミライさん・・・小学生の頃は冬休みになると、母方の田舎で過ごしていました。そこで友達になった男の子に別れの日に手作りのスノードームをもらいました。無口でシャイな彼からのプレゼントは今でも大切に飾っています。今考えると私の初恋だったと思います。同じ空の下にいる彼が今もどこかで元気でいますように。この曲を聴くと、当時の思い出が鮮明に蘇ってきます・・・」