虹の架かる橋
マサはタクシーに乗っている間、ほとんど口を利かなかった。


そして、ようやく目的地に着いたようで、後部座席のドアが開いた。


その瞬間、私は懐かしい景色に目を奪われていた…。 


その景色は、マサとの思い出の場所だった。


「俺ね、NZから留学を終えて帰って来た時、一番最初にここに来たんだ…。」



マサは夜景を見ながら話始めた。


「ケイ、あの時俺は、ミーがNZに来たって空港から電話をもらったんだ。ケイと一緒にに来た、って言われて、嬉しくなって迎えに行った。」 


「だけど、空港に行ってみるとケイは居ない。」


マサの話す表情は真剣だった。


「ミーに嘘はなんで?と問いただすと、俺の事が好きで追い掛けて来た。って言われた。」


「それから、日本に帰れって何度も言ったけど、マサと離れたら生きていけない。って言われて、かなり参った。」


「ケイの前に付き合っていた彼女は、俺がNZに留学途中で自殺未遂を起こしたんだ。」


タクから聞いた話だ…。


「それで、ほっとけなかった…。」



< 259 / 305 >

この作品をシェア

pagetop