虹の架かる橋
マサに出逢って、恋した…。


たった一週間そこらの時間の中で…。


だけど合宿が終わって少ししたら、マサはNZに帰ってしまう。


恋しちゃいけない相手だったんだ…。


そう思っても、もう遅い。


動き出した私の心は止められない。


あのマサの柔らかい唇の感触が忘れられない…。


差し出してくれた、マサの手の暖かさが残っている。


私は、さっきまでマサと繋いでいた方の手を見つめていた。


それから窓を開けて、夜空の月を見ていた。


12月の夜は、忘年会ラッシュで、飲んで騒ぎながら道を歩いている、大人達の声がうるさかった。



だけど今は静かな時間を感じるより騒がしい方がいい…。


一度、崩壊したダムは少しの事で、また流れ出してしまう。


私は、ただ月を眺めて朝まで起きていた。


空が明るくなると、月の存在はゆっくりと時間をかけながら、その存在を空色と同化させて、ひっそりとそこに佇んでいた。


まるでこれから、私がマサの事を風化させていくように…。



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