天の邪鬼は歌がお上手
「あ〜もう!わかったよ!
聞けばいいんでしょ!」











「おう、聴け。
お前のもうひとつの仕事のいい刺激になると思うぞ」














「そうですか…」








あたしはそれだけ言い
窓の景色を見ていると
兄貴はさっきより真剣な声で
話し出した。











「お前は今日本一有名な歌姫
-coa-の専属作詞家なんだから
もうちょっとライバル達の情報を仕入れといた方がいい。
そんなんじゃすぐ新しい奴が
どんどん出てきて
すぐお前なんか捨てられんぞ…」








「うん…
わかってるよ。
ご飯食べれなくなるのは困るからね…」









「おう、そのハングリー精神でがんばれ!
兄貴としてはお前が-coa-の作詞家で鼻高々だ。」










「そう言ってもらえんのは
有り難いんだけどさ、
仮にもあたしはゴーストライターなんだから
ペラペラ人に喋んないでよ?」













「わかってるって!!

おっ!着いたぞ。
相変わらずお前んとこはど派手だな。
電光がピカピカしてんのぉ〜
目が眩むわ。」










「兄貴んとこといい勝負してるよ」










「うるせっ!あっ!
もう6時じゃねーか!
待ち合わせに間に合わない!
早くいけ!」







「はいはい。
じゃ、送ってくれてありがと」






「おう、じゃ後でな」










そう言うと兄貴はあたしの頭を撫で、
夜の街を颯爽と走っていった。
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