変わり者同盟

変わり者の彼




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「・・・・・・はぁ・・・」


私は美術室の1番後ろの窓側の席に座り、絵筆を動かしつつ、何度目か分からないため息をついた。


今は部活動中。

私は美術部なので、美術室で冬のコンクールに出品する油絵を描いている。

締切日は、2月7日。
だけど、なるべく乾かしたいから、2月1日ぐらいまでには終わらせるのが目標。

今はラストスパートって、感じ。


ちなみに、私が描いているのは、雪がつもった椿の花が手前にある、瓦屋根の家。

出来としては・・・うーん・・・まぁまぁ、かな?


美術室には、締切日が迫っていることもあり、大多数の部員が黙々と絵を描いている。

油の匂いが立ち込める美術室はちょっぴり臭いけど、私はこの空間が好き。
なんだか、落ち着くの。



「お!描いてますね。」

ガラッと美術室のドアをスライドさせて入ってきたのは、美術部顧問の小野真由美(オノ マユミ)先生。
勿論、担当科目は美術。


「完成できそう?」

微笑みながら小野先生が聞いたのは、菜子ちゃん。


そう、明るい3人には不似合いにも思えるけど、すももちゃんと美沙ちゃんと菜子ちゃんは私と同じ美術部。

菜子ちゃんにいたっては、かなり絵が上手い。

初めてそれを知ったときは、驚いちゃった。
菜子ちゃんは、絶対運動系の方が得意なんだと思ってたから。

まぁ、実際、運動系も得意みたいなんだけど、菜子ちゃんは絵を描くことが好きみたい。


「うーん・・・頑張ればなんとか、って感じですかね。」

菜子ちゃんが、小野先生の質問に考え考え答えた。



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