変わり者同盟
「比佐乃(ヒサノ)の弁当、そんなに美味いの?」

ひょこっと後ろから端整な顔が突き出され、そんな声が耳に入った。



―――ドクッ

心臓が、勢いよく跳ねる。


え、え、え!?


「くっ・・・・・・」



久流君!?





――そう。


なぜか、さっきまで自分の席で寝ていたはずの久流君が、私に話しかけてきたんだ。

今は、じぃっと私のお弁当箱の中を物色している。



「・・・・・・・・・っ///」


後ろの席から身を乗り出した久流君の顔が、近い。


視線はお弁当箱の中身だけど、その端整な顔をこんな近くで見るのは、初めてで。
勿論、話しかけられたのも、初めてで。


ありえないほど、心臓がバクバクいい始めた。

き、緊張するっ・・・!!!


久流君は、私の緊張なんか気付かずに、私をじっと見つめた。

餌をねだるときの子犬のような視線を投げかけてくる。


それが意味するところは、一つだと思う。

何度もつばをのみ込み、動揺を隠し、おそるおそる聞く。


「・・・・・・あの・・・お弁当のおかず、食べますか?」



久流君は、至って生真面目に、コクリと頷いた。




< 11 / 140 >

この作品をシェア

pagetop