変わり者同盟
心臓が、これ以上ないってくらいに速く鼓動を刻む。

不安で胸が押し潰されそう。


すももちゃんの告白が上手くいきませんように・・・って、思う私は本当に嫌な奴だ。


「はぁ~・・・」


恋って、こんなにもやもやするものだったの?

これが初恋だから、分からないよ・・・。


「もっと、楽しくて、ウキウキして、幸せなものだと思ってた。」

1人、ポツリと零した。


冬の本当の裏庭は、1人でいるとやけに寒い気がする。

でも、周りが木で囲まれているからかな・・・1人じゃないって、思える。


「かぁ」

ふと鳴き声が聞こえたから視線を上にあげれば、案の定クロが木の枝に止まっていた。


バッチリ目が合えば、クロはばさばさと木の枝から飛び立ち、私の隣にちょんと着陸した。

いつもは漆黒の羽でよく分からない瞳が、今はハッキリと見える。


綺麗な瞳・・・。

魅入られるほどの瞳は、じっと私に向けられていて、なんだか『安心しろ』って、言われているみたい。


「ふふ。ありがとう。」


クロがそう思っているなんて根拠、どこにもないし、おそらくは私の妄想なんだろうけど。

それでも、ふっと気が緩んだ。思わず笑みがこぼれるほどに。



「クロは、優しいね。」

「かぁ」


当然さ!とでも言っているみたい。

なんだか、私、久流君にすっごい影響されてるかもなぁ・・・。


なんて思いながらも、私はクロに親しみを抱いていた。



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