変わり者同盟
ドキドキしてるのに、なぜだか凄く安心する。

変なの。



「で、比佐乃の嫌な事ってなに?」

久流君が放った質問に、私は俯いた。


久流君は私の頭の上に手を置いたまま、私の顔を覗きこむ。

「どうした?」


・・・・・・本日3回目。心臓がピンチです。

私は口を開けたり閉じたり、金魚のようにパクパクしていると、久流君は私に微笑みかけた。


「言いたくないのか?」

優しい口調。


コクコクと頷いた。

せっかく、聞いてくれるって言ってくれたのに・・・申し訳ない。


けど、人に言ったら、イジられてるだけっていう考えが、揺らぎそうで・・・恐くて。

何より、友達のことそんな風に言うのかよって、久流君に蔑まされたくなくて。


自分勝手な理由だっていうのは、分かってるんだ。

でも、でも、言う勇気がないよ・・・。


きゅっと唇を噛み締めて俯いた私の頭を、久流君はまた撫で始めた。

ぽんぽんぽんぽん。

規則正しいリズムが、心地いい。


「比佐乃、言いたくないんなら、言わなくていい。

誰にだって、言いたくないことの一つや二つ、ある。だから、顔上げろよ。」


久流君の優しい声にひかれ、私は顔を上げた。


久流君は、怒ってなんかなくて、ただじっと私を見つめていた。

痛いくらいの視線から、彼がすごく真剣なんだって分かった。


「でも、比佐乃。辛くなったら、抱え切れなくなったら・・・話したくなったら、俺に話していいから。」



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