変わり者同盟
そんな・・・不安そうな視線を、向けないでよ・・・・・・。


私は、必死にふるふると首を振った。

「嫌、なんかじゃないですっ!」


私の言葉に、久流君がほっとしたように笑った。


――ドキッ

だから、その笑顔はずるいですって。


「じゃ、今日は“いつも通り”じゃないな、比佐乃。

だから、比佐乃は今朝どんよりしてたんだよ。嫌な事、あったんだ。
いつもと違って。」


私は、これでもかっていうほど目を見開いた。

もしかして・・・それを認めさせるために“変わり者同盟”なんてのを・・・?


無性に、泣きたくなった。

久流君の優しさが、あったかくて、嬉しくて。気持ちが、涙になって溢れ出そう。


分かってる。
久流君が言ってるのは屁理屈だって。

でも、こんなに優しい屁理屈、私、初めて聞いたよ・・・。


――ぽんぽん

私の頭を、大きな彼の手が撫でる。


「だからさ、比佐乃、嫌な事抱え込むなよ?
同盟も結んだんだし・・・俺のこと、頼ってほしい。」


真摯な瞳に見つめられた私は、1つ、コクンと深く頷いた。

いろんな感情で、心の中がいっぱいいっぱいになった私は、それでもかすれた声で必死に伝えた。


「・・・・・・ありがとう、ございますっ・・・」


上手く、伝えられない自分がもどかしい。
もっともっと嬉しかったのに。胸がいっぱいになったのに。


「どういたしまして。」

優しい声が頭上から聞こえた。
久流君の手は、まだ私の頭を撫でている。



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