変わり者同盟
久流君の言葉に、ドクドクいってる。


『怒ってもいいんだよ、本当に。』


その言葉が耳に届いた時、私の脳裏にはすももちゃんと菜子ちゃんと美沙ちゃんがハッキリと浮かんだ。

久流君は、速く歩いちゃって謝ったことを言っているのに、私の頭の中を占めたのはすももちゃん達だった。


それが、なんだかすごく後ろめたくて・・・寂しかった。

友達なのに、ハッキリ浮かんだことに罪悪感を感じて・・・それが、なぜだかすごく、寂しかったんだ。


――それなのに。

久流君の笑顔を見た途端、心臓が、今度はドキドキいい始めた。


「・・・・・・っ・・・///」

単純、すぎだよ、私・・・。

ドクドク、ドキドキって鳴りすぎて、心臓が壊れちゃいそう。


久流君は黙り込んだ私の眼前にひらひら手を振った。

「比佐乃?起きてるか?」


・・・・・・寝てると思われてる?

心臓、フル稼働してるんだけどな。ちょっと、ショック。


「・・・起きて、ます。」

呟けば、久流君は私の顔から顔を離し、ついでというように私の頭から手も離した。


心臓が無事で安心した、けど―――もっと、触れてて、欲しい・・・。

一瞬ふっとそう思った私は、すぐさま心の中で自分を叱咤した。

何、言ってるの私!図々しいにも程があるでしょ!触れてて欲しいって、変態みたいじゃない!


「そっか。さすがに、寝てないよな。
じゃ、とにかく、俺に遠慮はするなよ。怒ってくれていいから。」

私の心の中の叱咤を遮るように久流君はキッパリと言い放った。

真っ直ぐすぎる、澄んだ瞳に、息が詰まりそう。


・・・なんで、こんなに、真剣なんだろう。

また、久流君に視線を釘付けにされながら、ふと思った。



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