変わり者同盟
どうして彼は、私が怒んないってだけで、こんなに真剣になってくれるんだろう?

本当に些細な、小さなことだったのに。


・・・・・・変わり者同盟、結んだから?
確か、変わり者同士親睦を深めるってことが、目的だったはず。

だから、なのかな?


私の心の中の疑問の波を断ち切るように、久流君は真っ直ぐ私を見据えたまま、念を押すように聞いてきた。

「分かったか?」


その、視線の強さに促されるようにして、私は静かにコクリと頷いた。

久流君は頷いた私を見て、「よし。」と、頷き返してくれた後、ストンと柔らかそうな雑草が生い茂っている上に仰向けになった。


・・・・・・え?草の上に、制服のまま仰向けに寝ちゃうの!?


頭の後ろに手を置き、久流君は私を見上げて笑った。

「ハハッ!比佐乃、目、真ん丸になってる。
そんなに、俺のやってることって予想外?」


面白そうに聞く久流君に、私はためらいがちに頷いた。

「あの、だって、制服、汚れちゃいません?」


久流君は、私の言葉を聞くと一瞬ポカンとした後、成程と言うように頷いた。

「あぁ、そういうことか。さすが女子。
けど、案外、ここらへんは雑草多いし、そこまででも無いと思う。」


久流君はそう説明した後、何か思いついたかのように、顔を明るくさせた。

「ためしに、比佐乃も寝てみれば?」


・・・・・・・・・え・・・

「わ、私?」

「そう。つーか、比佐乃以外に誰がいんだよ。」

自分の顔を人差し指で指した私に、やっぱり面白そうに久流君は言った。


た、確かにそうなんだけど・・・。

うろたえている私を、久流君は楽しそうに観察してる。


うぅ・・・楽しそうに観察するなんて・・・久流君って意外と意地悪?

そんな疑惑を抱きつつ、私は意を決した。



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