恋されてヴァンパイア
第二話☆非日常の始まり
『血』のような飲み物…商品名、ヴァンパイア・ブラッドを飲んでいると、ふいに、背後に気配を感じた。
「(いつもは誰も来ない場所なのに…)」
今私がいる場所は、生徒も先生もほとんど通らない、学校の一角の廊下。
生徒はみんな、前庭に出払っているし、先生たちも職員室でお昼をとってるはずなのに…。
気になって振り返ると………見知らぬ男子が、こっちを見ていた。
「…なに?」
「いや…お前ってそういうのも飲むんだなって思って」
その男子は、珍しいものを見るかのように、私を見てくる。
でも、あいつの口ぶりからして、あいつは……私を知ってる…?
私は知らないのに…。
「…あんた、誰よ?」
「俺?俺は神峰。神峰浩史」
そう名乗った男…神峰は、ブイッとピースサインを作り、私に突きつける。
「神峰…?(確か『神峰』って、隣のクラスの…)」
「そう!神峰!隣のクラスの神峰浩史」
神峰は、ちょっと嬉しそうに声を上げる。…なんなんだ、いったい。
「…その『隣のクラスの神峰』くん。私になんか用?」
「…ずっと、気になってたんだけどさ…」
「何よ?」
私が首をかしげて聞くと、神峰はこんなことを言った。
「…なんでお前は、そんなに悲しそうな顔をしてんの?」