夏休み
過去と思い出
容赦の無い陽射しは、直哉に突き刺さり、首筋に汗が流れる。
「あちっ」
空を見上げれば、今日も空が青く、真っ白な雲たちがゆっくり形を変化させながら進んでいた。
ふっと、大気温を無視した涼しい風が吹いた。
「・・・」
直哉は立ち止まり、帰宅の道とは別の道に足を進めた出した。
記憶を辿りながら、あの日始めてこの村を探索した時の道を思い出しながら、直哉は足を進めた。
「・・・くそっ、あちぃな」
シャツの裾で、顔の汗を拭いながら、あの祠を目指して歩き続けた。
すると、急に後ろから強い風が吹いてきた。
「!」
急な風に驚いていたが、もしかしてと思い風の吹く方向に向けて走った。
「・・・・!!」
走っている内に、見覚えのある道に出で、直哉は一層速度を上げて風と一緒に走った。
「はぁ、はぁ、・・・あった」
目印の石橋が見え、横を向くと祠に続く、細い道を見つけた。
呼吸を整えながら、直哉は一歩その道に足を踏み入れた。
「よぉ」
中に入ると、祠の前にあの日会ったまんまの少年が此方に手を上げて立っていた。
「久しぶり、何か探していた様子だったが、見つかったかな?」
分かりきっている質問を意地らしく聞いてきた。
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