夏休み
「・・・あぁ、案内ご苦労さん」
ふんと鼻を鳴らし、直哉は偉そうに答えた。
「くくっ、本当に面白い童じゃな」
「なぁ、お前『風神』ってホントか?」
笑っていた少年に、直哉が直球で聞いた。どうにも理解が出来ずに、此処に来たのだから、まどろっこしいのは無しにしたかった。
「!ははははははぁ!!これは面白い!」
少年はお腹を抱えて、大口を開け大爆笑しだした。
「!なんだよ、違うのか?」
「いやいや、如何にもワシがこの村で『風神』と呼ばれている者じゃよ!しかし、面と向かって言われたのは初めてじゃ」
涙目になりながらも、風神と名乗った少年はひぃひぃ言いながら話した。
「ってことは、人間じゃないんだよな」
「如何にも」
「!じゃ何?幽霊?妖怪?」
「ははっ!幽霊!妖怪!それも初めて言われたの」
またウケたらしく、お腹を抱えだした。
「おい!笑ってないで答えろよ!お前一体なんなんだ!?」
直哉が風神の反応にイラつき、大声で怒鳴ると、やっと真面目な顔に戻った。
「ワシは、云うならばここの『土地神』じゃ」
「トチガミ?って何?」
「そんな事も知らんのか、『土地神』とは、その土地、此処で云うこの村の『守り神』って事じゃよ」
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