恋の片道切符

「駆け込み乗車は大変危険ですので、お辞めくださいますようお願い致します」

ピクリ、と私の肩が震える。

これはまさしく私のことだ。

私は小さく肩をすくめ、それからクスリと小さく笑った。

ガタガタと揺れる電車。

揺れる度に隣の人の肩にぶつかったり、足を踏んでしまいそうになる。

それに気をつけながら私は鞄からイヤホンと音楽プレイヤーを取り出した。

そしてイヤホンを耳に嵌める。

ピ、と携帯音楽プレイヤーの再生ボタンを押す。

すると一番大好きな音楽が耳に流れてくる。

この曲は思い出の曲でもある。

この曲を聴きながらあれは…何年前だったかな。

と記憶を探るのだ。

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