恋の片道切符

それから昼休みとか下校する時に話したりしたんだっけ。

いつの間にか一緒にも帰るようになって。

彼は色々な話を聞かせてくれた。

友達のこと、家族のこと、クラスのこと…。

そして何より熱く語ってくれたのが電車のことだった。

彼は電車が好きでよく電車に乗ること、将来の夢はそういう鉄道関係に勤めることだと話してくれた。

その夢は叶ったのかしら。

彼はもう20才。

立派な成人だ。

この曲も彼に聴かせてもらった曲だ。

「どう、いい曲でしょ」なんて言っていた記憶がある。

ふと、車窓の向こう側に見える景色を見た。

オレンジ色の木漏れ日が、私の初恋の色に似ていた。

その眩しい光の中に、一瞬だけ彼の顔が見えたような気がした。

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