恋の扉を開けて
α.メイド・ハント
私は塚原るりる。

2年半勤めていた会社を寿退社した。

相手は1年付き合ってゴールインした人だった。

ハネムーンの帰りに成田空港で大喧嘩をした。

3ヶ月間の新婚生活はお互いに苦しいものになった。

私たちは離婚した。

私にとって結婚生活が悲惨に終わったことで

結婚という言葉イコール苦痛となった。

もうあんなつらい日々を味わいたくなかった。

その後、都内にワンルームを借り

派遣社員としてあちこちの会社に勤務した。

携帯が鳴った。

「はい、塚原です。」

「田中です。僕のこと覚えているかな?XX会社のXX部にいた田中だけど。」

「田中さん!お久しぶりです。懐かしいです。」

「元気?」

「はい。」

「今、仕事してる?」

「はい、派遣ですが。」

「そうか、僕の会社で働かないかと思って電話したんだけどね。」

「田中さんXX会社を辞めたのですか?」

「うん。うちの会社、神田にあるんだけど、ぜひ塚原さんに来てもらいたくてね。」

「感激です。私を使ってもらえるんですか?」

「その気があったらお願いしたいと思って、どお?」

「私の方こそ、お願いしたいくらいです。離婚して目黒に住んでいるんです。」

「離婚されたことは知らなかったな。一応履歴書を持ってきてもらえるかな?」

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