恋の扉を開けて
「俺をどう思う?」

「質問の意味がわかりません。」

「つまり男としてどうかだ。」

「スタッフ全員に好かれている完璧な上司です。」

「そうでなく一人の男としてだ。」

「とても魅力のある男性だと思います。」

「どういう面に?」

「仕事に一途で、夢を追い、部下を大切に思い、自分を高みへ上げて前進できる人です。」

「俺はワンマンすぎる部分がある。自覚していたが以前のパートナーもかなり個性的なヤツだったから続かなかった。」

「いい経験をされてうらやましいです。」

「君もあるだろ?」

「私の場合は経験と言っても離婚ですから意味が全く違います。」

「後悔はなかった?」

「ありません。」

「それならいい。」

「どうしてそんなことを聞くのですか?」

「俺は未経験だから聞いただけだ。恋愛は自由だ。君はもうこりごりかもしれないが。」

「そんなことはありません。」

「君は仕事をしすぎる傾向がある。もっと自分を大切にしろよ。」

彼の優しい心遣いは私をとんでもなく深いところまで追いやってしまった。

私はそこから這い上がってこなくてはならない。

彼に愛されたくて、彼を心から想う切なさがあまりにも深すぎて、一人ではどうすることもできない。

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