恋の扉を開けて
俺が温めてやりたいがそうもいくまい。

俺はいつからかわからないが、彼女を愛していた。

あの日、通りで彼女に声をかけずにいたら出会えなかった。

そう思いゾッとした。

気づかずにすれ違っていたら今はなかった。

この想いは伝えず俺の胸の中だけに閉まっておくつもりだ。

メイドは短命だ。

メイド・カフェという狭い空間、狭い視野の中に彼女を縛っておく権限は俺にはない。

2号店は軌道に乗ったらサポートも必至ではない。

俺は彼女をカフェから自由にしてやりたいと思っていた。

「専務。」

「何?」

「セレナーデのサポートとしての期限はございますか?」

俺は冷静に答えた。

「今はまだ考えてない。」

「そうですか。」

「将来長期的な予定があるなら遠慮せずそれを優先して構わない。」

「そうではなくて。」

彼女は画面の向こうで思案顔だった。

そっとしておこう。

追求すべきではない。

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