恋の扉を開けて
僕は着替えたルリルを見て息を飲んだ。

メイクのせいだけではないと言い切れた。

本か、何か別の世界から抜け出てきた生きた人形のように思えた。

「寒くない?」

「大丈夫です。」

「始めよう。」

朝だがカーテンをすき間なく締め切って照明を暗めに落とした。

静かに揺らめく暖炉の炎が彼女の背を温めていた。

ふわふわとした柔らかなロングヘアがゆるく波打ち、華奢な肩と白いデコルテの上を流れていた。

彼女はその場の空気のよどみを一瞬静止させて、異次元へ連れ去ってくれるような焦げ茶色の大きな目を、清楚な顔立ちの中から僕に向けていた。

シャッター音だけが鳴り響いた。

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