約束は森の中~導かれて~

「おめめ、きれーい」

 イブの口から感嘆の声が漏れます。

「きれい? この紅い瞳がですか?」

 青年は紅い瞳を大きく見開きました。

「うん。お兄ちゃんのおめめ、好き。
宝石みたいで、とってもきれい」


青年は、
イブの飾らない素直な言葉に、
驚きながらも、嬉しそうに微笑みます。


「紅い瞳は、わたしの国ではとても珍しいもの。
畏怖されることはあっても、
好きだと言ってくれたのは、
あなたが初めてかもしれませんね」


「こんなにきれいなのに?」


初めて見た時から、
紅い瞳に魅せられていたイブは
不思議に思います。

「そうであってもです」


「そんなこ・・・と」


 続けようとした言葉が止まります。
 急に瞼が重くなりました。
 強烈な睡魔が襲ってきます。



(まだ、寝ちゃダメなのに。お兄ちゃんに服を・・・)



目を開けようと、
何度か抵抗してみたものの、
無駄でした。




急速に意識が途絶えてしまいました。



 
< 88 / 103 >

この作品をシェア

pagetop